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陰陽座 / 青山銕仙会能楽研究所 20040529.sat
陰陽座 特別講演 於能楽堂「耀の果ての陰と陽」。史上初の能楽堂でのロックライブ。事前に新聞にリークを掲載するなど、広報活動にも力が入っている。が、困難多々あったようで。チケットの発売は、ライブ1週間前。そのチケットは、正に一瞬でソールドアウト。ヤフオクでチケット争奪戦が繰り広げられ。定額の10倍程の値が付いたことも。

能楽堂は、表参道プラダブティックの斜向かい。人集りがなければ、通り過ぎてしまう程の小さな看板。また、建物外壁がコンクリート打ちっ放し。少々意外。開場の際「ご来場のお客様へ」と書かれた紙を渡される。以下、全文。

〜ご来場のお客様へ〜

本日は、〜陰陽座 特別講演 於能楽堂〜『耀の果ての陰と陽』にご来場いただきまして、誠にありがとうございます。
ご来場のお客様に、本日の公演をお楽しみいただく為に、いくつかお願いがございます。
本日は通常のライブハウスの公演とは違い、日本の伝統芸能である『能』を行っている能楽堂でのライブになります。
お履物は入り口でお脱ぎの上下駄箱に入れていただくか、係員にお預け下さい。また座席はイスではなく、座布団になっております。ご了承下さい。
尚、ライブ中に盛り上がって飛び跳ねたり、床を強く足踏みしたりの行為はご遠慮下さい。場内では節度をもって良識のある行動をお願いいたします。
ロック史上初めての能楽堂でのライブを成功させるために、歴史の証人になる皆様のご協力・ご理解をよろしくお願い致します。
それではごゆっくりとお楽しみ下さい。

陰陽座メンバー・スタッフ一同

大人しくしてろ、と言われた。場所が場所だけに、致し方ないのか。大人しく見ていよう。と思い、会場へ。正方形の舞台。向かって左手に、楽屋と舞台を繋ぐ橋掛り。客席は。舞台を正面に臨む席と(正面)。左手側、橋掛りの手前から舞台を臨む席(脇正面)の、二方向に設置。儂は脇正面、橋掛りがかなり近く。舞台上は。マイクの位置などから、正方形の舞台の対角線上にメンバーが立つ、と推測。また、5〜6台の篝火が灯されており。火は勿論、偽物だが。かなりの雰囲気。しかし、そこにSEとしてかかっている曲は。Black Sabbath。

●セットリスト
01) 式を駆る者
02)
03)
04) 貍囃子
05)
06) 奇子
07) 氷の楔
08)
09) 組曲黒塚〜安達ヶ原
10) 組曲黒塚〜鬼哭啾々
11) 涅槃忍法帖
12) 月に叢雲花に風
13) おらびなはい

- encore 01 -
se) 焔之鳥
14) 鳳翼天翔
15) 梧桐の丘
16) 舞いあがる

- encore 02 -
17) 羅刹
18) がいながてや
開演時間から30分が過ぎ。ようやく客電が落ちる。橋掛りからは、黒猫さん一人が登場。髪の毛で表情は見えない。舞台中央へ進み、マイクを持ち。アカペラ。初めて聴く曲。花嫁姿の姉様が、輿に乗って嫁ぎに行く、と言うような歌詞。黒猫さんが歌う間、他のメンバー様が登場。セッティング。黒猫さんが最後に、「穢れを祓い、式を打つ」と歌うと。すぐに、カウント。「式を駆る者」。通常のライブなら、「成敗」という掛け声とともに、拳が上がるのだが。事前に配られた紙の影響か、本日は上がる腕が少ない。座布団に正座したまま「式を駆る者」を見ている。異様な空間。また、遠方に目をやると。座布団に座ったまま、ヘドバンをする女性の姿。これも、異様。曲後に兄上の。「今晩和、妖怪ヘヴィメタルバンド、陰陽座です」と、いつもと変わらぬ挨拶。早速次の曲。「睡」。この曲のイントロも。客から拳とともに「オイ、オイ」という掛け声がかかるが。本日は聞こえず。サビのコーラスは、「嗚呼 肱の蛆」と、兄上と招鬼さんで入れ。「佯を照らし出して」は兄上のみのコーラス。続いて、「煌」。本日は、しっとり目の曲を多く持ってくるものばかり思っていたので。戸惑いを感じる。それとは裏腹に、いつも以上のテンションで、メンバー様は演奏。この状況で「鉄槌 叩き付けろ」と言われても。と思いつつも、つい、慣れで拳を上げてしまう。

続いて。鳴り物を手にした兄上。「いつもより大人しいと思ったら。開場の時に配られた紙に、騒ぐなって書いてあったからか。」と、兄上。「今日の会場は能楽堂だけど、ロックライブなんだ。」暴れたり、足を踏みならしたりしなければ、盛り上がって良いぞ。お許しが出る。「狸囃子」。掛け声は「ぽん」と、兄上は指定する。ようやく、調子を取り戻した客。間奏では兄上に煽られる前に、掛け声が上がる。兄上「おぉ、自主性がある。」例によって、「ぽぽーん」の練習を数回。ドラムのフィルイン。斗羅さんがたまに変化を付けるので。一瞬入り方が解らなくなったり。「ぽぽーん」に合わせて紙風船を投げる、狩姦さん、黒猫さん、招鬼さん。兄上は紙風船を投げなかったが。一瞬、ぐーにした両手を頭上に持っていき。狸の仕草。歌詞に合わせて、腹鼓を打ったり、狸の仕草をしたりなど、可愛らしい動作を繰り返す黒猫さん。

陰陽座の曲には、能の演目と同名の曲が2曲有り。その一つの「鵺」。台詞部分。普段、黒猫さんは横を向いて台詞を言うが。本日の舞台は、正面と、左と、二方向から見られるため。左手側に居た儂は、黒猫さんの高笑いを真っ正面から見てしまう。テンポ速めで、多少ばらばら感があり。一番最後の兄上ボーカルに戻ったところで、ようやくテンポが落ち着く。曲後、少しの間があり、黒猫さんが「奇子」と言うと。すぐにリフが入り。この曲も、若干テンポにばらつきが見られ。続いて、滅多にやらない曲「氷の楔」。鍵盤の音。ふと、招鬼さんの奥を見ると。鍵盤弾きの男性がおり。ストリングスとピアノの音。音が安い上に、リズムも悪い。ふと、以前聴いたエディの音を思い出す。黒猫さんMC。舞台と客席の間には、玉石が敷かれているが。黒猫さんはその辺りを指し示し、舞台に水というか、何か清らかなものが立ち上ってくる気配を感じる。という話をし。「蛍」に繋げる。黒猫さんが喋る間に、ギター2人には、アコギと椅子が用意される。黒猫さんの美しい声に、鳥肌。かなり柔らかい声。儂の位置からだと、斗羅さんは死角に入っており、全く見えなかったが。この曲で、ようやく鈴を振るう腕が見えた。鍵盤弾きの方は、サビに薄いパッドを単音で入れ。続いて、これも能の演目と同名。というか、黒猫さんが能の演目に、自分なりの解釈を入れて作った曲。組曲「黒塚」。今度は黒猫さんの美しい声に、涙。緊張感のある、黒猫さんの台詞部分。体が震える。ところで、「鬼哭啾々」に入った頃には、鍵盤弾きの方はいらっしゃらず。「安達ヶ原」のみで、早々に退場したらしい。エディだったら、「鬼哭啾々」からが真骨頂なのに。と、つい比較してしまう。

「黒塚」は、女性の情念を歌った曲。次の曲も同じく。「女の子は情念を持っているから、強いんだよ。」と黒猫さん。「涅槃忍法帖」。黒猫さんボーカルの曲が続いていたため。「私ばっかりで、ごめんね。」とも。招鬼さんソロの間。兄上と黒猫さんは、上半身を大きく揺らす。長い髪の全てが前後に揺れる。その向こうで、狩姦さんも頭を振る。ソロを弾いている招鬼さん。よく見ると小さく頭を振っていた。サビは、兄上の高音コーラスが入る。兄上の曲紹介で、「月に叢雲花に風」。普段なら、ステージ上を走り回るメンバー様だが。本日は余り動かず。弾きながら飛び跳ねたり、も無し。客同様に「暴れぬように」とお達しがあったのかも。もう、二度と無いだろうから。悔いの残らないよう、盛り上がれ、と兄上。最後の曲。「おらびなはい」。客席を良く見ながら、嬉しそうに歌う黒猫さん。兄上は掛け声を煽りながら。この前の渋谷ライブは、兄上に「伝説」認定をされたが。盛り上がりが少ないと、客に「伝説剥奪するぞ。」兄上は、もう能楽堂ライブは二度とない、という腹づもり。どうせ、出入り禁止になるんだから、中途半端に怒られるのではなく。「二度と来るな、ボケェ。」と言われる位、盛り上がろう。えぇー、という表情の黒猫さん。能楽堂は、多少段差のある客席で。客席の様子がよく見える。大量の扇子が揺れる様を見た。色とりどりの扇子。圧巻。曲後は、橋掛りを通り、退場するメンバー様。

アンコール。焔之鳥が流れる中、メンバー様再び登場。そのまま「鳳翼天翔」。座ったままの客から、拳と「オイ、オイ」という掛け声。やはり、癖で。2回し目はうっかり頭を振ってしまう。正座をしたまま。そして、気付いたら鍵盤弾きの方がおり。続いて「梧桐の丘」。この流れは、堪らない。また涙が出る。ギターソロの間、ボーカル二人は奥の方にいたが。ソロの終わり際。歌が始まるため、前方に出てくる。二人、同じ足並みだった。しっとりとしたところで、最後に「舞い上がる」。狩姦さんが、招鬼さん側にやって来て。舞台の際でギターを弾き。舞台中央へ戻ろうとする。モニターをまたいだところで、招鬼さんが邪魔だったらしく。少し下げた頭を招鬼さんの胸につけ、ぐいぐいと押し。所定位置へ戻っていった。曲後、紹介。鍵盤弾きの方も含めた6人が並んで手を繋ぎ。3回両手を上に上げ。普段はジャンプをして、だが。本日は、床に足をつけたまま。そして、メンバー様退場。

2回目のアンコール。「羅刹」。思い切り、足を踏みならしている兄上。最後の曲。「がいながてや」。僕達は説教決定ですが。もう、怒る気も失せるぐらいに盛り上がろう。と、兄上。いつもはメンバー様がぴょんぴょんと飛び跳ねるが。今日はやはり飛び跳ねず。しかし、体が動いてしまうのか。小さく跳ねるメンバー様。最後に、ピックやスティックをばらまき。兄上が「有難う御座いました」、「じゃ、ちょっと怒られに行ってきます。」と言い残し、舞台を去っていった。

この日は、「初」が何度もあり。史上初、能楽堂ロックライブ。能楽堂初、Black Sabbath。そして、能楽堂でこんなに盛り上がった客は、初の筈。と兄上に言われ。嬉しく思う。「伝説」。「歴史の生き証人」を連呼する兄上。「この前渋谷で伝説作ったばっかりなのに。」とも。

能楽堂ライブは、恐らく二度とないので。行けて本当に良かった。と、同時に。陰陽座は凄いバンドになってしまった、という感慨も有り。兄上の一言。「いつもと違う場所で、いつもと同じようにライブが出来たことを、嬉しく思います。」

二時間の正座。ライブ中は全く苦にならなかったが。終演後に立ち上がり。転びそうになった。

その他雑感。音響。スピーカーの位置を確認していなかったので、良くは解らぬが。儂のいた脇正面からは、音が遠く感じる。また、照明。通常の能や狂言ならば、後ろから照らすライトは必要ない訳で。当然その設備は無いと思われる。が、「舞い上がる」時に、ステージ後方から明るい光。どこにそんな設備が。と思い、目を凝らすと。楽器陣のアンプの上に、小さいが強力な光を放つライトが設置されていた。また、足元には複数台のライト。こちらも、通常なら不要と思われる。持ち込んだモノであろう。「羅刹」だったか、ライトがちらちらと様々な方向に動き。気になり、照明元を見ると。スタッフ様がライトを手動で動かしていた。涙ぐましい努力。機材だけ見ると、若干、学生の行う学園祭ライブのようでもあったが。色々な方が苦労をして、能楽堂ライブ作り上げたのだ、と。改めて認識。
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